特集
FEATURE
4.吉州窯 図柄③-動物他-
2025.11.17| 吉州窯
吉州窯 図柄③-動物他-
《五蝶》
中国語では数字の「5」を「五」と書き、発音は「wǔ(ウー)」です。一方、泣き声を意味する擬音語は「嗚」と書き、発音は「wū(ウー)」で、この二つの発音が似ていることから、「5」はかつて不吉な数字と捉えられることがありました。しかし、この数字五には「変化」のエネルギーが宿っているとされ、そのエネルギーをうまく活かすことで、幸せや豊かさを手に入れることができるとされています。
五蝶は、人生の大きな変化と発展を象徴しています。5という数字は、変化や自由、行動力を意味し、古いものを壊して新しいものを築く力を持っています。この変化は、人間関係や状況をより良い方向へと進め、あなたの人生に豊かな可能性をもたらすことを示唆しています。
また、蝶は、幼虫から美しい成虫へと姿を変えることから、変化と成長の象徴とされています。美しく羽ばたく姿は、あなたの輝かしい未来を示唆しているのです。特に、黒い蝶は幸福の前兆とされ、人生の節目となる重要な成長や変化の時期を表すと言われています。
これらの象徴的な意味を考えると、描かれた五蝶は、変化を恐れずに受け入れることで、人生がより豊かになるというメッセージを伝えているのかもしれません。

玳玻蝶天目 ナマコ釉
《鹿》
鹿は、力強さと情熱、そして強い生命力を象徴する、野生の存在です。彼らは、有毒な植物を避けて食べるなど、本能的に毒を避ける知恵を持っています。
また、鹿の鳴き声は、私たちにさまざまなメッセージを伝えます。昔から、鹿の鳴き声が突然止まると、その場所にイノシシやクマといったより危険な動物がいるとされています。このように、鹿は単なる野生動物ではなく、その生態から多くの教訓を私たちに与えてくれます。

玳玻天目 ナマコ釉
《雁(がん)》
雁は渡り鳥です。「秋になるとやってきて冬になると南へ帰っていく」という習性は、厳しい冬(戦乱や苦痛)は続かず、必ず春(平和や安定)は来るという季節の巡り替わりを通じた希望を人々に与えています。
また、雁が手紙を運ぶ使いとして用いられたことから、良い知らせや音信を「雁」にたとえられています。
しあわせは必ず来る。うれしいたよりも来るという期待が込められているのでしょう。

釉下彩瓶
《魚》
魚文は中国陶磁器の文様として6千年の歴史があります。魚はたくさんの卵を産むところから子孫繁栄の象徴とされています。

白地黒花魚文壷
《波》
戦乱や動乱という激しい時代の波にもまれた人々の平安への願いが、穏やかに連続する波の模様にあらわされています。
無限に広がる穏やかな波が連続した様子は、厳しい状況を乗り越えた先に幸運な状況「いい波」が訪れることを期待し、子孫繁栄や平穏な暮らしが続くようにという願いが込められた吉祥文様といえます。

白地鉄絵魚藻文皿
《藻(も)》
藻は沈水植物で、一生をきれいな水中で暮らします。
藻の柄には、安全で安定した生活を送りたいという願いが込められています。
また、藻思(そうし)という言葉があります。水面に広がる藻のように豊かな文章や、優れた才能を意味します。これは、吉州窯の陶工たちの技術と芸術性を象徴する言葉です。
日本では、語呂合わせで「藻刈る」と「儲かる」という音に聞こえることから商売繁盛の縁起物とされています。
《火灯窓(かとうまど)》
火灯窓は、寺院や城郭など格式高いところに取り入れられています。この絵柄は、絵画の額縁のような効果があるとともに格式高く安全な場所にいる気持ちになれると思います。

白磁刻童子鉢

褐釉花図香炉
《吉祥文字(きっしょうもじ)》文字天目
ひし形の枠内に縁起の良い吉祥文字を文様として取り入れた「文字天目」が作られています。
文字の入った出土破片は発見されますが、破損することなく文字がはっきりと判別できるものは極めて希少とされています。
なお、所有している品は文字の判断が難しいものとなっています。

玳玻天目
吉祥文字にはそれぞれに意味が込められています。
富貴長寿(ふうきちょうじゅ) 富と身分の高さを保ちながら長生きをする。
金玉満堂(きんぎょくまんどう)金銀財宝が部屋に満ち、才能学識が豊かな状態。
福寿康寧(ふくじゅこうねい) 実り豊かで楽しく安らかに幸福で長生きをする。
鶏口牛後(けいこうぎゅうご)大きいものに従うよりも小さいものの先頭に立ったほうが良い。